感情移入の出来ない主人公。
これはこれでありなのかもしれないが、好きか嫌いかと言えば、自分はこの手の映画は嫌いなのだ。
異常者による殺人事件の映画は他にいくらでもあるのだが、殺人者が本作のように普通そうでありながら、実は全くの異常者となってくるとこちらは引いてしまって、映画自体に入り込めない。
一見、丁寧に犯人の心情を描いているようかにも見えるが、その異常性を浮かび上がらせるだけで、同情や理解を求めるものではない。
最後の種明かしも、それによる犯人の焦りも上滑り。警察官側の勝ち誇ったような感情すら今ひとつ伝わらずで終わってしまった。
サスペンスのような危うさや盛り上がりもないのは、作品自体は別の趣向を目指しているからかもしれないが、自分としては残念な感じが残るだけだった。