この映画は、ナチスが牛耳っていた戦中のドイツ、分断された戦後の西ドイツ、再び一つとなった90年代のドイツという激動の近代史をもつこの国を、主人公ハンナにダブらせて語っているのである。
どこか感情を切り離して行動しているハンナは、合理性が国民性といわれるドイツ人のメタファーになりえている。
ただ、舞台がドイツで、この極めてドイツ的な映画を全編英語というのも「ワルキューレ」と同様なにか浮ついた感じがしてしまう。
二人しか知らない秘密に戸惑う表のドラマよりも、時代に振り回されたドイツ人の過去に思わず注意を向けてしまう映画だった。
それにしても、ケイト・ウィンスレット、老けちゃったなあ。。。