カナダで中東からの移民の双子の子供の母親が突然死んでしまう。
双子の姉弟は、その母親の遺言で異母兄弟の兄を探すように指示を受けるが、それに従うにつれて母親の一生を追体験していくこととなる。
母親が生まれ育ったのは、中東のある地域での宗教戦争に巻き込まれた村落。
宗教的なタブー、政治的対立、憎悪と復讐にまみれたすさまじい彼女の一生が一つ一つ明らかになっていくさまはそれだけで圧倒される。
宗教対立がすべての原因となっていながら、衝撃的なラストは両方の宗教が否定している状況に陥ったことが判明するのも単に皮肉と言う言葉では言い表せないほどの衝撃だ。
自分の一生を俯瞰的に総括し、遺言にしたためて子供たちに託す姿には、母として、また一人の女としての人生の幕引きに一人の人間以上の重みを感じらずにはいれない。