1979年から1990年まで11年間イギリスの首相を務めたマーガレット・サッチャーの半生を描いた映画である。
現在は86歳で認知症を発症し表舞台から遠ざかっているが、夫の幻影と過去の出来事を交錯させながら彼女自身の半生を巧みに描き出している。
何よりも、本作でアカデミー賞主演女優賞を受賞したメリル・ストリープの演技は見事としか言いようがない。
混迷を極めていた70年代のイギリスでまさに「鉄の女」の名にふさわしい頑強な意思で政治をリードし、国をリードした彼女の強さは並々ならぬ迫力をもって伝わってくる。
サッチャーの政策は現実の世界では賛否両論あるようだが、80年代の好景気に貢献していることは間違いないだろう。
また、男社会(ダークグレー)の中の彼女(ブルー)、政治家として絶頂期の彼女(ブルー)と没落期の彼女(レッド)といったように、彼女の衣装の色で彼女の立場を際立たせる演出は印象的だった。